令和7年3月毎月の自宅訪問でお伺いした際、ご本人様から「大阪万博に行きたい」とお話しがありました。
T様は90歳男性、娘様ご夫婦宅で同居されています。
元々電電公社に勤め電波塔の設計・設置をされていたことから機械関係に興味があり、1970年(55年前)の大阪万博、2005年の愛・地球博にも行かれていたことから、“また万博に行きたい”と思われた経緯があったようです。
ご家族もご本人の意向を受け5月末に万博に行く方向で動かれていたため、早速ご利用されているデイケア、福祉用具事業所に連絡し、万博に行くためのチームアプローチが開始されました。
4月は丁度介護保険更新のため関係事業所でご自宅に集まる機会があったため、現在の身体状況等から、万博に行くためにどのようなことが必要か話し合いを行いました。
T様は杖歩行で歩くことができますが、大阪の街や万博会場のような人混みの中を長距離歩行するためにはさらに体力、持久力が必要だと思われました。その為、デイケアでは長距離歩行訓練、階段昇降訓練等を集中的に行い、デイケアがない日は毎日自宅から公園まで歩き、公園内を何往復も歩いたり、デイケアから提示されたストレッチや立ち座りの自主訓練を行いました。
また、T様は水分でむせることも多かったため、デイケア、自宅で毎日食事前に嚥下訓練を行い、意識して飲み込むようにするよう習慣化しました。
大阪での移動は車椅子をレンタルすることも考えましたが、ご本人は“自分で歩きたい”というお気持ちがあったため、福祉用具はあえて追加利用しない方向となりました。
娘様が万博会場の配置を確認し、休憩所や椅子がある場所のチェック、最短距離で移動できるよう動線も考えました。
当日は雨天ながらカッパを着用し傘もさして一人で歩くことができました。
県外からお孫さんたちも合流し、ご本人の横に付いて歩いたり、列に並ぶ(長時間立つ)ことも率先して協力してくださいました。
人の多さにたくさんは回れなかったものの、ご本人は「家族とまた万博に行くことができて嬉しかった。自分で全部歩くことができた。ご飯もむせずに食べることができて、美味しかった。」と喜ばれていました。
今後もご利用者様の“やりたい!”を大切に、チームアプローチのきっかけ作りをしていきたいです。